講評文を書き終えて
    岡部 敦(岩手県立福岡高等学校演劇部顧問)


初日の高松工芸さんへの講評文で「2010年の今で描いた方がより伝わるのでは」と指摘された方がいらっしゃったと記憶しています。その方と並んで、私の「2000年にしたことで成功した」といった内容の講評用紙が貼られていました。私はその二つ貼られた講評用紙にうれしくなりました。どちらが正解とか不正解とかではないのです。
 今回の講評文作成では、上演後、特に話し合いを行うわけではなく、それぞれがそれぞれに感想を書いています。ですから、書いている私も、ほかの人の講評文を読んで新たな気づきが生まれたりします。共通する部分があったり相反した部分があったりします。その中から上演された劇がどういう作品だったかが立ち上がってくるのでしょう。そして、その立ち上がった思いをどう受け止めるかは読み手や上演校自身なのだと思います。
 夏の全国大会での生徒講評委員の取り組みは、この立ち上げる作業までをも委員である生徒たちが話し合いの中で行い、その立ち上がった「何か」を「講評文」として提示しているのだと思います。
 一方、今回の講評の取り組みは、色々な感想が直に作り手に届き、さらには観客も共有していきます。相反した意見や感想からどんな劇だったかと立ち上げる作業は読み手に任せられます。夏とは違う春の取り組みとして興味深く感じました。私個人としては、コンクール形式ではない、春の「研究大会」ならではの取り組みだったと感じています。
「夏には夏の良さがあり、春には春の良さがある」両方の講評活動をかなり濃密に体験して、そんな事を感じました。
 今(2010年3月18日の朝6:00)、外は真っ白な雪景色です。春の全国大会は、とても充実した楽しい大会でした。ひとえに上演校の皆さんの素晴らしい上演と、岡山県を中心とした中国ブロックの方々の献身的な運営があったからこそです。本当にあたたかな夢のような大会期間を観客の一人として体験できました。ありがとうございました。

仕掛け人からの一言
     末安 哲(春の全国大会を応援する会
                   ・広報担当世話人) 

 この大会がコンクールではないせいでしょうか、予算がないせいでしょうか、講師がいません。講評もありませんでした。「これでは上演校が淋しすぎる」「研究大会の名前が泣く」と思いました。で、岡山の高齢三人組・全国高演協顧問の赤木慎平・高垣章二・末安哲が集まり「春の全国大会を応援する会を立ち上げて、何をどうすべきか」と話し合う中で、「とにかく、客席をいっぱいにしたい」「せめて客席と上演校をつなぐ工夫を考えよう」「できれば、空き時間に1本ずつ感想や批評を話し合う機会を作りたい」「でも、時間がない、人手もない、お金もない……」中で、やっと生まれたのが、このシステムだったのです。
 この思い付きは、伊藤隆弘先生(全国高演協顧問・広島県)と6名の県外現役顧問の方々、上演校や岡山県の演劇部員のご協力で、やっと実現しました。ご提出いただいた「メッセージ・感想・講評」は104枚(3月23日現在)。この中から上演校ごとに3枚〜5枚を選んでロビーに貼り、観客の皆さんとの共有を図りました。全国の高校演劇ファンには「岡山高演協」のホームページに掲載して紹介する予定です。
 掲示やホームページのための選抜基準は、@できるだけ上演校の参考となるもの A他の演劇部の活動にも参考となるもの B可能な限り、先生方の代表2部、部員の代表1部を選ぶ Cできるだけいろんな方の文章を選ぶ――ように、独断ですが努めたつもりです。
 また、ホームページ掲載用文章は、より読みやすくするために、必要最小限の表記変更と読点の追加をさせていただきました。執筆くださった皆さん、お許しください。 
 なお、各出場校には、該当する全ての「メッセージ・感想・講評」と、一般観客から寄せられた251枚の「感想文」中から、該当分をお送りする予定です。
 この「メッセージ・感想・講評」が皆さんのお役に立つことを願っています。また、ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
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2010.04.17更新