学校祭の舞台裏。揺れ動く恋心。 「 to get her!(トゥ ギャ ザー)」は、それぞれに片思いを抱いている高校生たちの心の動きを追いかけた物語。 バカバカしいお笑いの中に、ほんの少しの切なさを織りまぜた舞台を、どうぞお楽しみください。 |
【客席からのメッセージ・感想・劇評】
○亀尾佳宏(島根県・30代・男) まず初めに気になったことから。幕が開いてすぐの小林・真田のやりとり。客席の笑いが先走っているような気がして、少々舞台に入り込みにくかった。雑然と並ぶ道具類も、なんだか空間を平板にしているようで、特に舞台奥の廊下(?)とおぼしきスペースがよくわからなかった。 ――しかし、劇が進むと、そんな小さなことはどうでもよくなった。とにかくおもしろい! 変な道具の中にかくれている小林の心情を思うと、ハラハラした。そして、かくれて聞いていた「乙女心」を、しっかり告白に生かしてしまう素直さ。黒ひげのたるから出てくる場面では、自然と拍手してしまった。 勢いだけでなく、きちんと計算された笑い。客席を巻き込む力強さ。登場人物が全員ストレートで、素直で、やさしくて、それがしっかり無理なく演じられていたことが心地よかった。何よりも、7人の人物で構成されていながら、あの部屋の外の世界、学園祭のフィナーレを迎えようとしている全校生徒の雰囲気を感じさせていたことがすばらしかった。 このメンバーがいたからこそ生まれたお芝居。それが客席と一体となって、かけがえのない空気を生み出す。これぞ高校演劇の醍醐味。「恋愛」という高校生にとっての最大の関心事を、豪速球で投げ込んだその潔さに拍手をおくりたい。 とびっきりうまい役者がいるわけでもなく、とびっきりうまいセットがあるわけでもないが、とびっきりおもしろい芝居だった。 ○岡田(広島県・40代後半・男) 青春は残酷だ。残酷だから応援したくなる。そんなお芝居だった。 かなわぬ思い、かなえたいが一歩踏み出せない。誰かに背中を押して欲しくて欲しくてたまらない。何かの力を借りてでも伝えたい。そして一歩進む出すとあふれ出すエネルギー。うれしはずかし青春の一コマ。 いいですねぇ。自分の若かった頃を思い出しました。学校行事という非日常の時のワクワク感、ドキドキ感。伝わってきました。男の子って、鈍感さもいいですね。 観る人によっては,すこしやりすぎなのかなって言う部分もあるかもしれませんが、そんなことも吹っ飛ぶ好演でした。 お疲れ様でした。 ○北川雄也、門田寛生(岡山県・10代中盤・男) 劇全体のテンポがとても良くて、1時間とっても楽しく過ごせました。 人に何かを伝えることの難しさを切実に感じました。人に告白するのって、大変ですよね……。周りの人も多少巻き込まれてしまいますし、いやぁ、青春って大変ですね!! 小道具・大道具の使い方が上手で、とても感動しました。イソギンチャクとタルの使い方が、神です!! イソギンチャクの中に垂れ幕を力いっぱい入れたときは、「ぁ、中の人死んだ……」と思いました。中の人、おつかれ様でした!! 人に何か‐今日で言えば、誰にも気付かれないような仕事‐を認められることは、すごく嬉しいことだし、大切なことだと思います。多分、会長や生徒会の人が誉めていることを真田くんが知らないままだったら、告白してたと思います。それぐらい大切なことだと思います。あくまで個人的ですけど。 最後は運命の始まり、だと信じてます! |