四国ブロック代表:香川県立高松工芸高等学校
『あした色の空へ』  作 川田正明・西澤智子・原田瑞穂(顧問生徒創作)






【演劇部プロフィール】
 みなさんこんにちは!!高松工芸高校演劇部です♪
高松工芸高校演劇部は、現在顧問3名、部員33名で活動しています。
部員みんなが家族のようで、もう一つの「家」という、笑いのたえない部です。「明るく、楽しく、元気よく!」&「わくわくForYou!」を合言葉に一致団結しています!。
 

【上演にあたって】
 中学2年生だった夏の日、テレビ画面にテロップが流れました。
524名を乗せたジャンボジェット機が群馬県の山中に墜落…死者520名を出した航空機事故。7年後、日本航空に入社、新入社員研修で墜落現場に立ちました。地面にはまだ、事故機のリベット、ハニカム、ボルト、ナットが無数の航空機部品が散乱し、慰霊小屋からは、坂本九さんの歌声が聴こえました。1本の割れたリベットを拾い、手を抜かない、自分に厳しい整備士になることを誓いました。
今の多くの高校生は、あの事故を知りません。
事故が風化し、事故が忘れ去られていく…「人には思い出したくないことがたくさんある、でも同じくらい忘れてはいけないこともたくさんある」「520の命を無駄にしたくない、2度とあってはならない」…ご遺族の方の気持ちを伝えたい、エンジニアが守るべきは絶対安全。部員・顧問一同、この想いが伝えられるように頑張ります!
(元日本航空株式会社整備士 川田正明)


【客席からのメッセージ・感想・劇評】
○伊藤隆弘(広島県・70代前半・男)
25年前の日航事故。薄れゆく記憶の中で、消し去ってはならない文明に依存する現代社会の危険な一面を、再認識しながら生きることを現代の高校生にも考えさせるねらいが、関係者でもある顧問の指導のもとにまとめられた意義は大きい。
熱演かつさわやかな舞台、セットもしっかりしていて安定感があった。重いテーマなので、むしろアップテンポで展開した方がよかったかもしれない。ミレニアムという言葉から、舞台は2,000年頃と思われるが、思い切って現代の2,010年頃にした方が、生徒たちへのアピール度も強まったかもしれない(「坂本九」は現代では少し遠いかもしれない)。
整備士としての責任を感じた父を持った生徒、整備士を目指す生徒、設定は理解されるが、思い切って現代の視点からフィードバックしてみるのも方法かもしれない。例えば、現代の日航問題から入ってみるとか。 最近、映画『クライマーズハイ』『沈まぬ太陽』、そしてその原作を読んできた私には、きわめて新鮮な舞台だった。重いテーマをみんなで考えてみる舞台もあってよい。

○おかべあつし(岩手県・40代中盤・男)
 事実の重さ、そして様々な人間模様が丁寧に描かれていました。絶対安全に対する思い。「仕方がないという言葉を軽々しく言ってほしくない」がズシッと心の奥深くに届きました。
 といって堅苦しいだけの芝居ではなく、計算された笑いを入れた緩急の中で、劇への集中力を高めていました。とくに廊下をうまく取り入れ、第三者を使った演出など秀逸です。
 状況設定の仕方が上手いと感心しました。2010年ではなく、2000年という時代設定にしたことで、この劇のリアリティーを強く感じさせることに成功していると思います。  ただし個人的には、オートバイ事故のくだりが無いとどうなるのか、と考えますし、真剣なタイプの敦司君ならどんな劇構造になるかと考えています。(これは完全に余談ですが、私の名前が敦(あつし)なので、いろいろな意味で、まじめに生きてほしいなぁと思い、かつ、あの状態で形見の部品をもらってはいけないだろう、と思ってしまいました。それだけ私が芝居の世界に感情移入できたともいえます。)
 作者の一人が、元航空会社の整備士ということですが、決して押し付けるわけではなく、伝えるべき「絶対安全」の理念を伝えることに成功している、と私は感じました。ありがとうございました。

○えびはら(栃木県・10代後半・女)
実際にあった事故を元に、いろいろな立場の人の考えと考えのぶつかり合いが約1時間の劇の中にギュッと詰まっていて,とても完成度の高い本だと思いました。
名前くらいしか知らなかった坂本九さんの事故でしたが、とても考えさせられ、辛いことでも忘れてはいけない大事なことを、大切にしていこうと思いました。
キャストさん、皆お上手ですね! とても自然な会話や雰囲気で、キメるところはビシッとキメて、かっこよかったです。幕が開いた時の遺族の場面も迫力があって、いきなり劇に引き込まれてしまいました。大半が一年生なのに驚き! ギャグも面白かったです。
廊下を走っていた大きな男子生徒さんにカンパイ。先生もべっぴんさんでステキでした? 廊下を使った細かいやりとりが大好きです! ただ、セリフとセリフがかぶって、よく聞こえなかったり、どっちのセリフが大事なのか分からなかったのが少し残念でした。あ、でもそういう演出だったらごめんなさい。
セットがリアルでしたね! 本物の教室みたいでした。黒板や窓(しかも開閉する!)まであって, 初見はリハーサルの時だったのですが、部員皆で「すげえぇ!」と感動してしまいました。
完成度の高い本! 大道具! 絵!(美空さんがもっていたもの)、そして皆さんの心意気! カンドーしました! 皆さんお疲れ様でした。
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