熊本県立玉名高校の上演作品「弱虫HERO」は、何事にも自信をもてない柔
道部の少年マサルが、周囲の人とのかかわりの中で、少しだけ成長していく物語
です。 役者たちの個性をキャラクターに託して、役者自身も、スタッフも、主人 公たちと一緒に少しだけ成長してきました。 笑いあり、涙あり(!)、淡い恋あ り、スポ根あり(?!)…。 誰もが痛みを抱え、それを乗り越えて一歩前へ踏み 出していく…そんな青春の一ページを味わっていただければと思います。 |
【客席からのメッセージ・感想・劇評】
○おかべあつし(岩手県・40代中頃・男) いろいろな「愛」に満ちた舞台だと感じました。なんか、良いんです。技術的なことを指摘したら、それこそ山ほどあります。でも、ほのぼのと、しみじみと、良いんです。それが第一の感想です。とはいえ、「私ならこうしたい」という技術的なことも二つだけ指摘しておきます。 ・装置へのこだわりをもっと持って欲しいです。舞台前と奥の平台上の二重構造はいいのですが、や はり、この劇の中心となる柔道場はもっと堂々と真ん中にして欲しい。この柔道部の部員数は何人 でしょうか? ワイヤーハンガーは2本情けなく吊されていますが……。何もちゃんとした舞台を 組むというのではありません。作り手のこだわりが舞台から感じられる何かを、観客に提示してほ しいと思います。 ・台詞の量の問題として、どうしても多く語って説明しています。その量の多さに役者の演技も単調 になりがちだと感じました。状況で充分語っている部分もあると思います。 投げられても投げられても向かっていく弱虫HEROの姿に感動しました。もっともっと「汗」を感じる舞台を作ってほしい、と勝手に期待したりもしています。ありがとうございました。 ○黒瀬貴之(広島県・40代・男) シンプルでストレートな物語に感銘を受けました。何よりマサルと大久保先輩の純朴さがイイ。客席で、いつの間にか応援している自分がいました。時々まぶされている笑いが嫌味がなくて、ギャグや言葉遊びに走らず、二人のキャラクターや設定を笑いに生かしているところがよいですね。 いちばんいいのは、やっぱり稽古の場面。ひたすら投げて投げられていたけど、あの投げにウソがないから、劇にもリアリティがあるし、訴えてくるものがある。 ただ、全体を通して、ややセリフによる説明が勝っている印象があります。幸村さんの語りとか、ラスト近く大久保の「アンパンマン」の説明とか。うまく言葉にできないもどかしさとか、モヤモヤがあるんじゃないかな、と思うけど。長い説明のセリフは動きも時間も止めてしまうし……。 とはいえ、そんなことも“投げとばして”くれるような、さわやかで清々しい舞台だったと思います。いい舞台をありがとうございました。 ○市川翔子(愛知県・10代後半・女) この用紙を割り振られるとき、この劇の『弱虫HERO』というタイトルにすごくひかれて、玉名高校さんのこの劇を選びました。男子の多い演劇部さんもめずらしいですよね。お疲れさまでした!! 私は、劇の緞帳が上がる瞬間と下がる瞬間が好きなので、この劇の緞帳が上がった瞬間は、簡素な装置だけの舞台だったので、正直少しガッカリしてしまったのですが、後々「ホリの色が綺麗だなぁ」と思って、それは装置が無駄なくスッキリしているからこそ、ホリの色が素敵に引き立っているのかなぁと思いました。 演技に関しては、あまり感情の起伏が無かったかな、と感じました。どの台詞も同じ間でしゃべっていたのが気になりました。気持ちがたかぶるところは間を無くしてかぶせて言うとか、そういう工夫をしてみるといいんじゃないかなと思います。でも、ちょっとした仕草とかでキャラクターの性格が表現できてました!! 大久保さんが靴ちゃんとそろえてたとことか! 柔道部のお話だったので、練習のシーンとかどうするんだろうと思っていたら、本当に投げていてビックリしました。 これぞ高校演劇!って感じの青春を見せてもらいました。お疲れさまでした! ありがとうございました。 |