どんなに力強い「励まし」よりも、どんなにすばらしい「ことば」よりも、あの時のわたしには、「好き」というささやきが嬉しかった。 どんなにわたしを勇気づけてくれたことか。忘れない、あの人の「好き」。 原作を読み終えた時、身体の震えがとまりませんでした。重松先生に是非にとお願いしたところ、快く許可をしていただきました。 岡山に根ざした重松先生の作品を上演できることに大きな喜びを感じています。 中国大会パンフレットより |
【客席からのメッセージ・感想・劇評】
○伊藤隆弘(広島県・70前半・男) 郷土の作家重松清氏の作品を脚色したものということだが、脚本として充分完成されていたように思う。 いつも歌わないと気のすまない小学生のまゆみ,在校生総代までつとめる優等生の姉,二人の子どもの中で揺れながらも懸命に見守る母。ある日、声の出なくなったまゆみ、大きく家族関係が動く。ていねいに描いて、出演者もそれに応えている。 母親は抑えた演技ながら好演している。やさしく、そして強く。ストーリーの展開上やむをえなかったとは思うが、やや暗転が流れを阻害する感じもしたので、そのあたり、上下分けるとか、少し整理した方がアップテンポになったかもしれない。 それにしても、重松原作の暖かさを大切に表現しようとする努力は充分感じられた。ともあれ、高森先生のラストランにふさわしい、先生らしいヒューマンな舞台だった。お疲れ様でした。 ○黒瀬貴之(舟入高校)(広島県・40代・男) 【セットのスケッチに書き込み「シンプルだがよく作られた装置」「畳がほしかった」「下手・上手も上手に使っている」「電話とデッキが立派‐新し‐すぎ?」】 奇しくも「好き」が登場する作品が、二本続きました。いろんな「好き」があって、それぞれ大切、それぞれすばらしいと感じました。 中国発表会でも拝見しましたが、とても温かく、あとからじわじわ染みてくるようないい舞台だったと思います。 キャスト、みなさん上手でした。小学生→大人の演じ分けなど、難しいところもしっかりこなしていました。中国大会の講評で「役に対する信頼感を持っている」という話がありましたが、改めて同感です。部員全員が、役だけでなく作品そのものへの信頼感を持って、大切に演じていることが伝わってきて、すばらしかったです。 大きく5つの場面から成っていたと思いますが、転換(暗転)に工夫の余地があります。病床の母のもとで姉妹が話しますが、常に母に触れたり布団を整えたりなど、母への思いを持ちつつ話をしているという姿が表現されれば、もっとよかったと思います。 僕自身、先月母を亡くしたので、母への思いがよみがえり、胸打たれつつ見ました。感動の舞台をありがとうございました。 ○倉田 栞(栃木県・10代後半・女) 皆様、声がとても良く出ていて、聞き取りやすかったです。一人ひとり上手く役を演じていて上手だなと思いました。すごく感情移入してしまいました。最後のまゆみちゃんがマーチをお母さんに歌っているシーンを見て、涙が出てきました。 全体的に一定のテンポで、暗転の時間が少し長かったので、少し辛かったかなと思います。あと小説がもとになっているので、ちょっとだけ説明的というか、文章的なセリフが多いような気がしました。もっと口語的な感じに原本を直した方が気がします。(←そういう演出だったらごめんなさい) あと私、原作を読んだことないんで分からないんですけど、最初はまゆみちゃんの学校に行けなくなった問題があったので、それを解決するのかなと思ったんですけど、後半でもう解決してて、ちょっとアレッ? となりました。 でも大人になった塔子ちゃん、まゆみちゃんを小さい時としっかりと演じ分けられていて、本当にすごかったです。おつかれ様でした。 |